2025年度 理事長所信
一般社団法人横手青年会議所
理事長 林 一輝
【はじめに】
横手は素晴らしいまちです。ひとが温かく、自然が豊かで、食べ物が美味しい。他に誇れ
る素晴らしい地域です。これらの魅力は、他地域から移住してきた私だからこそ、一層強く
感じる魅力なのかもしれません。
しかしながら、普段生活をしていると周りの方から「こんな田舎にいたって」「横手なん
て雪は多いし、暑いし、住みづらい」など悲観的な意見を耳にすることが多々あります。大
人が「こんな街なんて」と悲観している場所に若者は残るのでしょうか。帰ってきたいと思
うのでしょうか。初めて聞いたときに「魅力あるまちなのに残念だ」という思いを強く持っ
たことは今でも忘れません。そんな悲観的な意見を多く耳にしていたある日、まちのために
見返りを求めず精一杯運動を起こす若者たちに会いました。それが私と青年会議所の出会い
でした。まちの課題に目を向け、ただひたすらにそれを解決するために活動するJCの魅力に
惹かれました。一方で、JC運動の大変さを見聞きしていた私は、入会を躊躇してしまいまし
た。そうして、入会は伸びに伸びて、私の入会は2022年度の後半、40歳まで残り約3年とな
った時でした。その後、ウェルビーイング委員会委員、まちづくり委員会 委員長、秋田
ブロックアカデミー委員会出向とJC運動にコミットするにつれ「もっとJCで運動がしたか
った」「なぜもっと早く入会しなかったのだろう」という想いが強くなりました。そんな
想いから、JCのラストイヤーをLOMの理事長として、率先励行していくと決意しました。
JC歴も浅く会員の皆さんより経験も知識も乏しい私です。1年間の活動の中で多くの失敗を
することでしょう。それでも私だから気づけること、できることを常に考え、先に立って励
み、行動していきます。一人でできることはわずかでも人と人が繋がり、共に運動を起こせ
ば、その影響はとても大きなものになります。LOM一丸となって協力し、自らが感じたJCの
魅力を自らの運動で広く波及させていきましょう。
<地域に出ていくことで築く連携強化とその先に目指す地域活性>
横手市には他地域にも誇れる素晴らしい伝統的な文化があります。各種祭りや各地域での様々
なお祭りなどもその文化の一端です。しかし、それらの祭りはもれなく全てが、高齢化や人手不
足によって同規模での持続的な開催や継承が難しくなってきています。
JC運動に参画した市民は少なからず何かを得られます。しかし、運動を起こしてそこに参加し
てもらうだけではなく、まちに若い力が必要な今こそ、自らが地域に出ていき地域参画していく
時ではないでしょうか。そこで築いた地域との繋がりは、地域を維持・発展させることは勿論、
当会にも大きな影響を及ぼすことでしょう。
地域文化の活気が薄れてきた今だからこそ、若い力をもった我らが地域に出て、JCだからこそ
できる運動を通して、地域との連携を深め、その先にある地域活性化を目指してまいります。
<シビックプライド醸成で目指すウェルビーイング向上>
地域の方々とお話していると、度々「大きなショッピングモールやテーマパークがほしい」など
という声が聞かれます。確かにそれらがあって悪いことはないかもしれません。しかし、人間の
欲は満ち足りることはなく、「もっと大きいものがほしい」「もっと便利なものがほしい」と膨れ
上がっていきます。そんな中で大事なのは、今置かれている状況で幸せを感じること、一人ひと
りのウェルビーイングを向上させることです。市民の満足度を向上させるには、雇用や住環境、
インフラや娯楽、様々な要素を改善する必要がありますが、先ずは生まれ育ったこの土地、自ら
が住み暮らすこの土地を愛すること。それが何より重要ではないのでしょうか。
地域を想って活動している人や団体と積極的に連携し、人と人、地域と地域を新たに繋ぐこと
で、当会が従来から持っているネットワークを更に増大させ、横手を想う運動の輪を広げること
ができます。
まちづくり、ひとづくりの運動を通して当会が横手市民のシビックプライドを醸成させ、一人
でも多くの市民が我がまちを愛する気持ちを高めることで、市民一人ひとりのウェルビーイング
を向上させることができます。これによりこの地域に住み続ける人を増やし、持続可能な地域を
作っていきます。
<第55回秋田ブロック大会の主管>
第47回ブロック大会以来、8年ぶりに秋田ブロック大会の主管をさせていただきます。ブロッ
クの会員が一堂に会し、運動を発信する貴重な場ですので、委員長・委員会を中心にLOM全体
で精一杯サポートいたします。この大会に向けた準備や当日の運営は個々の成長に繋がり、また
その活動は他LOMの会員と交流する絶好の機会となり、会員の活動の幅を広げるものとなりま
す。このような機会を頂戴したことに感謝し、しっかりと横手の魅力を伝えられるように努めま
す。また、横手JCの運動を広く発信できる機会と捉え、いかに市民の皆様を巻き込んでいけるか
を考え、大会当日まで挑戦していきます。大会の成功に向け、秋田ブロック協議会と連携を密に
し、この大会が会員・市民の皆様にとって充実した時間となるよう、LOM一丸となって進んで
まいります。
<45周年へ向けた理想の未来を描くことのできる運動指針の策定>
横手JCは、2026年で創立45周年を迎えます。5年毎に政策提言の発表を続けており、本年は
2021年より掲げている運動指針「“Vitality Action”活力あふれる横手市の実現」を検証する年度
となります。検証をしっかりと行い、45周年の先を見据え、理想の未来を描くことのできる新た
な運動指針を策定してまいります。
<JC活動の魅力で行う会員拡大>
我々横手JCにかつて50名以上いた会員は年々減少を続け、毎年度会員拡大に臨んでいるもの
の、未だその改善には至っていません。会員の数は、起こすことの出来る運動の大きさに影響し
ます。また、一つの事柄を行う際に、少ない人数で行えば、一人にかかる労力や責任は大きくな
ります。しかし、同じ事柄でも多人数で行うことが出来れば、一人ひとりの負担は軽減され、更に
多様な意見により、その事柄に幅を持たせることもできます。JC、仕事、プライベート、そして
その他の活動を両立させ、退会者を少なくするためには、会員の活動における負担軽減は大事な
プロットです。
会員拡大が出来れば、大きな運動を起こすことができ、JCの魅力を更に波及させることが出来
ます。その運動は市民が魅力と感じられるものとなり、会員拡大の一助となります。こういった
好循環をもたらせられるよう、極めて重要な会員拡大について、今年度は2つの事柄を軸に進ん
でいきます。
先ず1つは従来も行ってきたことではありますが、会員一人ひとりが行う会員拡大です。恥ず
かしながら入会当初の私はJCの魅力をしっかりと理解し、他者に伝えることは出来ませんでした
。売りたくない自社製品を勧める営業マンから、誰が商品を買いたいと思うでしょうか。会員一
人ひとりがJC運動を楽しみ、その魅力をしっかりと理解し、他者に伝えていくことで会員拡大を
行います。また、魅力を他者に伝えるためにも、今年度は会員が積極的に地域に出ていき、連携
を深めてもらう機会を増やします。
2つ目に運動に携わってもらう人を増やすことです。昨年度も行った学生ボランティアの募集
や、会員候補者としての例会へのスタッフ参加。こういった機会を増やすことで、JC運動の魅力
に触れる人を増やします。また、正会員の拡大は従来通りに行いながらも、先ずは賛助会員とし
て入会してもらう人を増やし、JCの魅力を感じてもらう中で正会員へ移行してもらうなど、全国
の会員拡大に成功している他LOMの取り組みを学び、あらゆる可能性を排除せずに検討してい
きます。
<おわりに>
JC宣言にある「持続可能な地域」とはどういった地域なのでしょうか。水道や電気、道路など
のインフラが整った地域でしょうか。商工業が発展し、賑わいがある地域でしょうか。勿論それ
らは必要ですが、私はやはり人があっての地域だと思います。
その地域を想い、愛し、地域のために尽くす。それは、その地域で生まれ育った人でなくても
、市外県外に移住してその地域に住んでいなくても、想いがあれば同じです。そして、その想い
を先祖や祖父母や両親、上司や先輩たちから受け継ぎ、繋いでいける地域こそ持続可能な地域な
のではないでしょうか。是非、我々の溢れんばかりの地域愛を自分たちだけでとどまらせること
なく、周囲に広げていきましょう。
そしてもう一つ、持続可能な地域とは、その時代に合ったカタチに変化していける地域だと思
います。私が生まれ育った秋田市の実家は、幼い頃は周囲を田んぼに囲まれていました。それが
、今となっては新興住宅街になっています。横手の家も以前は町内に数十件しか住宅はなかった
そうですが、今となっては300近い世帯が暮らす地区となっています。
また、私の家庭は、母がパートで働くほぼ専業主婦で、父は休日もなく働くというまさに昭和
の家庭でした。それが今や世間では夫婦共働きが当たり前で、その割合は約7割となっています
。そして、以前のような三世帯同居は減少し、核家族が増加しています。
私は高校生の時に初めてPHSを持ちましたが、あの時誰が現在の携帯電話の発展、AIの進歩
を想像出来たでしょうか。
まちのカタチ、家族のカタチ、私たちを取り巻く技術、それらは日々変化しています。そうい
った時代においては、JCも常に組織、運動をアップデートする必要性があります。OB・OGが作
ってきてくれた輝かしい歴史を重んじながらも、新しいJCのカタチを皆で考え、地域のみならず
内部的にも変革を起こしていきましょう。
ゲーテの言葉で「前進をしないものは後退しているのだ」というものがあります。また、ウォ
ルトディズニーも「現状維持では、後退するばかりである」と言っています。皆でしっかりと議
論しながら、変化を恐れず変わっていきましょう。この地域が持続可能であるために必要なJC
という組織を、しっかりと持続させ、未来に繋いでいくため、前へ前へと進んでいきましょう。